日本語 / English / 中国语

ホーム > 60年の歴史(目次) > 第5章「第3節 初の海外拠点、松村精型(大連)有限公司の建設」初の海外拠点設置に向けて

60年の歴史 第5章

第3節 初の海外拠点、松村精型(大連)有限公司の建設

初の海外拠点設置に向けて

松村精型(大連)有限公司のパース画

2006年(平成18)12月、当社初の海外拠点松村精型(大連)有限公司〔Dalian Matsumura Mold & Pattern(DMM)〕」が竣工し、稼働した。

大連市は、中華人民共和国遼寧省の南部遼東半島先端部に位置し、西は渤海湾、東は黄海に面する地級市(地区クラスの市)である。総面積1万2574km2、市区面積245km2、総人口約600万人の港湾都市で、1984年に経済技術開発区に指定された。大連港は中国第三の港湾で、近年日本企業、韓国企業の進出が著しい。

当社が中国と最初に接点を持ったのは、95年8月に高岡市との友好提携10周年を記念して高岡市を訪れた中華人民共和国遼寧省錦州市訪問団(団長:胡前市長)だった。錦州市は、面積1万301km2、市区面積440km2、総人口約308万人の港湾都市で、外国企業の投資を期待しており、高岡市とは85年に友好都市提携を締結している。訪問団は、市民との交流を深めるとともに、小松製作所などの企業を視察して当社にも来訪した。これがきっかけで浩史社長は、錦州市におけるインフラ整備などの環境調査を依頼した。同市には、98年に助野靴下株式会社(高岡市)が錦州成大制襪有限公司と靴下生産の合弁企業を設立したが、当時はまだ機械や部品工業のインフラも整っておらず満足な回答は得られなかった。

95年の1ドル79円という超円高をきっかけに長期間デフレ状態がつづいた日本の「失われた10年」、この間、製造業は生産拠点の海外移転を余儀なくされ、とりわけ賃金の安い中国、タイなどアジア諸国に生産をシフトしていった。経済産業省の「日本企業の海外進出状況」海外現地法人四半期調査(2004年4—6月期)によれば、わが国の企業(資本金1億円以上)が所有する海外現地法人数は3582社で、そのうち91年以降の設立が46.2%を占めている。富山県でも財団法人とやま国際センターの「富山県企業の海外事業所調査」によると97年9月現在で県内企業の海外事業所数は178事業所で、うちアジアが100事業所で最も多い。内訳は、中国が22事業所(香港含まず)、次いでシンガポール14事業所、マレーシア12事業所、タイ10事業所とつづく。

自動車メーカーのアジア進出は60年代に始まり、90年代後半には中国を除くアジア各国で日本のメーカーが現地生産を行い、これに引っ張られる形で部品メーカーが進出し、その数はタイ一国だけでも5000社にのぼっていた。とくに97年のアジア通貨危機をきっかけに日系組み立てメーカーは為替の変動に左右されないよう部品の現地調達に動き始めており、加えて、これまで委託生産しか行ってこなかった欧米自動車メーカーが、今後も成長が期待されるアジア市場における販売拠点を確保する目的で進出し始めた。部品メーカー同士が、競争力の高いアジアの自動車部品メーカーとの協力関係を構築するなど、系列を越え、国を問わずに新たに取引を始めるケースも相次いだ。しかし、アジア諸国に比べて、中国では日本の自動車メーカーの進出がおくれ、本田技研が広州汽車と合弁会社広州本田汽車有限公司(広州ホンダ)を設立したのは98年になってからで、トヨタ自動車が天津汽車と合弁会社(天津一汽豊田有限公司)を設立したのは2000年だった。

当社がこれから海外直接投資を行うとすれば、数千社とも言われる部品メーカーがひしめき、トヨタ自動車もすでにタイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア4国にまたがる企業内分業体制を構築している東アジアでは後発となり、メリットは少ない。加えて従来日本の自動車産業は、地域の産業集積に基づく展開を重視してきた経緯がある。部品生産が集積していることからもたらされるプラスの外部経済効果は内外のサプライヤー研究によっても繰り返し確認されてきた。部品と部品が製品の統一的な全体性を支え合いながら「擦り合わせ」られていく自動車工業では、部品から最終組み立てまでの一連の価値連鎖を担う諸企業が地理的に近接していてこそ大きなメリットがある。その点から言えばトヨタ自動車の例に見られるような東アジア諸国における分業体制は特殊な形であり、当社にとっての商機は、これから日本の自動車メーカーの現地生産が本格化していくであろう中国にあると考えられた。

経済技術開発区

 

中華人民共和国が、1984年以降の改革開放政策の一環として、「経済特区」に次いで、1984年に指定した対外経済開放区のこと。

2004年現在、大連・秦皇島・天津・煙台・青島・連雲港・南通・上海・寧波・温州・福州・広州・湛江・北海の14都市が指定されている。外資と技術の導入を目的に、経済特区並みの優遇措置がとられている。経済特区と異なる点は、経済特区が管理線で国内と明確に隔離され、対内的に閉鎖されているのに対して、経済技術開発区は管理線がなく、開放されている。

 

天津一汽トヨタ自動車有限公司

 

天津夏利は、ダイハツ工業が技術供与することで天津汽車の子会社として設立されたが、経営不振に陥った天津汽車(天津市)、を天津夏利も含めて天津一汽が買収。改めて、トヨタ自動車と、第一汽車、天津夏利の3者で合弁会社天津一汽トヨタ自動車有限公司が設立された。

お気軽にお問い合わせください。

お電話でのお問い合わせ  076-625-1715  受付時間 月〜金9:00〜17:30  メールでのお問い合わせメールでのお問い合わせはこちら