ホーム > 60年の歴史(目次) > 第4章「第2節 社長交代と新たな分野の開発」業務の見直しと組織の改正
第2節 社長交代と新たな分野の開発
業務の見直しと組織の改正
中沖豊富山県知事から感謝状を受ける幸作社長
自動車産業への転換、CAD/CAM導入、新たな領域への進出と、急速な変化のなかではこれまでのような町工場的な仕事のやり方は通用しなくなり、さまざまな問題や歪みが生じてくる。進歩は質量両面で劇的であるにもかかわらず、利用効果がそれほどあがらないのは、コンピュータの利用効果が実際にはハード・ソフト以上に使い方に依存することに原因がある。コンピュータを有効に使うには、コンピュータの長所短所を理解したうえで、これをうまく業務に取り込む方策を考えなければならないが、組織的な利用の場合には、発想を転換し業務そのものを変革するという困難な作業が伴う。CADを単なる製図機械として利用する限り、熟練者でなくともきれいな図面が得られるという程度の効果しか得ることはできない。本来のCADの利用効果は後工程で発生する。そのためには、CADのデータを技術計算・発注・加工等の諸業務に連携させる総合的なシステム作りが必要になる。大学で組織工学を学んだ浩史専務は、1990年(平成2)以降、総合的な組織構築に取り組んだ。
当時、社内には工程分析、分解作業の責任が不明確で、出入荷がつかめないとか、工程計画の責任が不明確である、複数の人から指示を受け無駄が多く工程がすぐに変わる、管理が不十分などの問題が山積していた。このため90年1月29日社内に次のプロジェクトチームを設置し、それぞれ各チーム5〜7人が、チームリーダーの指揮に従って2週間に一度の会合をもって問題解決と実施にあたった。
外段取り化推進チーム
段取り時間の縮小をねらいとし、マシン以外のところで自動加工用(主にマニシングセンター)の段取りを行うための機械や治具の考案および実施を目的とする。
自動加工推進チーム
自動加工機(主にマニシングセンター)の自動時間の延長をねらいとし、その障害となるトラブルの収集と対応を行うことを目的とする。
上段:当時の検査風景
下段:放電加工機群
自動加工機の段取り時間の縮小をねらいとし、治具の標準化を推し進めることを目的とする。
新たに導入するグラファイト放電加工機の導入準備とその操作技術の習得を目的とする。
表面処理標準チーム
金型の表面処理の標準化を図 り、メーカーごと、商品ごとに表面処理程度を指示できるような標準書作成と程度サンプルの作成を目的とする。
さらに、3月には現行組織の問題点と組織改善案を作成、職制を明確にして責任の所在を明らかにした。6月6日には、①ワークステーションの場所の確保、②外段取りの場所の確保、③模型部品進捗票による管理、などによって工程管理を確立する目的で工場北側のレイアウトを変更、11日には各部署の分掌掌握を明確にした。このプロジェクトは、後述するWITシステムの原型となった。