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第1節 業界に先駆けたコンピュータ化
CIの導入と3カ年中期経営計画
コンピュータ化という新しい時代を迎え、めざす目標もあり方も大きく変貌しようとする当社のイメージを内外に示して社会的価値と競争力を高めるとともに、従業員のモチベーションを高めるため、さらには、当社が持つ特徴や理念を体系的に整理し、簡潔に表して同業他社との差別化を図るため、本社工場竣工(1987年12月12日)と同時に、CI(Corporate Identity)を導入した。
これまでの社章は、松村精型のMを中心に周囲を型をイメージする二重丸で囲んだものだったが、新しい社章は、精密な形の創造という「精型」の心を象徴化し、従来の殻(イメージ)を脱ぎ捨て、未来へ向かう姿をビジュアル化した。そこには、型を通して、無限に広がるスペシャリスト集団と、技能、技術といった人間の英知の結集を表現した。また、社名のロゴマークは、限りない躍動と連携、そしてシステム化された技術情報のネットワークを象徴化した。
旧社章
新社章とその由来
新社章を掲げた社屋
一方、コンピュータ化は、経営にも変化をもたらす。システム導入という具体的な目標・作業のなかでは、業務の流れや方法の問題点がみえてくる。理由なく習慣で行ってきた経験や勘に頼る作業や無駄な手順があらわになると、そこから、システム導入をテコに業務改善を推進する新しい発想や戦略がみえてくる。業界に先駆けた最先端のシステム導入で従業員のエネルギーも高まっているこの時期を機会に業務改善によるいっそうの効率化を進めようと、1987年(昭和62)、浩史専務が初の「3カ年中期経営計画」を策定した。
第1回QC大会(1987年10月17日)
計画は、生産効率を向上し、高品質でかつコストの低減を図るため、プラスチック射出成形分野に進出して金型の一貫生産体制を構築する一方で、この技術を蓄積して将来的にはエンジニアプラスチックやファインセラミクスなどの新素材分野に進出しようというもので、これによって、4億5000万円の売上高を90年(平成2)までの3年間で7億円にまでもっていこうという計画であった。
しかし、この3カ年中期経営計画は途中で方向転換を余儀なくされた。全社一丸となったコンピュータ化の推進と業務改善に加え、得意技術である鋳造用金型製造技術に特化した結果、杉山工業、アイシン新和、リケンの受注が拡大したのである。87年度の売上高約4億5300万円は、2年後の89年度に約6億4700万円、91年度には約7億1800万円に伸びた。しかも、その売上高に占める杉山工業の割合は35%にもなった。杉山工業やアイシン新和、リケンが製品を納めるトヨタ自動車は、当時北アメリカでの現地生産に向けアメリカケンタッキー州ジョージタウンとカナダオンタリオ州ケンブリッジで生産工場を建設、部品は現地調達を原則としていたもののエンジン部品については日本から調達しており、同社の協力会社である杉山工業も繁忙を極めていた。加えて、杉山工業にもまだCAD/CAMは導入されておらず、当社の先行投資を高く評価していた。以後当社は杉山工業を通してトヨタ自動車のエンジン部品の一翼を担うことになった。
90年2月にはCAD/CAMを10端末に増設して資本金を3000万円に増資し、年度の売上内訳は、杉山工業34.0%、アイシン新和22.8%、コマツキャストエンジニアリング17.8%、リケン9.8%となり、売り上げにおける小松製作所の比率が低下し、自動車産業の取引が大きくなった。
自動車部品については、高品質、低コストが求められる。これに伴って当社の設備もさらに技術革新、高効率化を図り、88年12月にはデジタイジング機TMF−86、グラファイト電極加工機SNC86−A5を導入、89年には1月と10月にそれぞれ立型マシニングセンターを増設した。
当社の業績推移(単位:千円)
1989年 | 1990年 | 1991年 | |
総売上高 | 647,360 | 661,210 | 718,570 |
対前年比 | 129% | 102% | 109% |
CAD/CAM導入後の設備投資
設 備 名 称 | 取 得 |
立型マシニングセンター | 1985年 2月 |
CAD/CAM | 1985年 8月 |
デジタイジング機TMF-86 | 1987年 12月 |
グラファイト電極加工機SNC86−A5 | 1987年 12月 |
立型マシニングセンターFNC128−A30 | 1989年 1月 |
デジタイジング機TMF-86 | 1989年 10月 |
立型マシニングセンターFNC128−A30 | 1990年 10月 |
立型マシニングセンター550V | 1990年 10月 |
立型マシニングセンター650V | 1990年 10月 |
凝固解析ソフトウエア導入 | 1985年 11月 |