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60年の歴史 第3章

第2節 自動車産業へのシフト

相次ぐ設備投資

1981年(昭和56)ごろに始まった新和工業との本格的な取引、つまり、自動車用金型の製造は当社の設備・技術の革新を促した。82年4月には牧野製作所製NC倣いフライス盤を導入して製品の高精度、短納期を図るとともに、10月には同社製マシニングセンター(MC)を導入した。

1982年に入社した本多誠は、当時の社内のようすを次のように語っている。

NC倣いフライス盤

入社した当時会社は、田圃と広上製作所にはさまれたこぢんまりとした町工場でした。機械は、放電加工機とNC倣いフライス盤を除いては、汎用フライス、旋盤などまだまだ人間が主役でした。入社したときの従業員は30人ぐらい。昼休みには横の田圃でソフトボールをしたりして、和気藹々の雰囲気でした。

また、83年に入社した大森明、木村満久、矢富あさ子によると、当時の組織は、木型、金型、設計、仕上げ、総務からなる構成で、従業員は約35人。うち15〜16人が木型で、女性5人はプラスチック金型の磨き、仕上げが担当だった。設置されている機械は、倣いフライス盤FDX−106やNC工作機械が数台ある程度だった。それらの機械では、社内で木型を造ってこれを金型に転写する倣い加工が主だった。木型部門に配属された木村は、当時の仕事の厳しさを次のように語る。

上段:木型部門
下段:磨き部門

木型部門には5年いたのですが、入って最初の1年は先輩の道具研ぎでした。2年目からようやく略図に記入してある寸法どおりに四角形を造ります。それが期待どおりにできるようになったら、次にこけしを造る要領で丸い形をくるくる回しながら削る技法を体得します。すべて手作業で、それができるようになると、今度は図面を読む力をつけるため丸い形状の断面図を読んでベニヤ板に原寸の形状を書き、それを糸鋸で切ってゲージを造ります。それらの工程を修了したと認められて初めて旋盤を回しながら木型の一部を造る作業をまかせられるようになりました。全体を造り込んでいく職人に成長するまでには10年以上の経験が必要でした。

しかしこの状況は82年のマシニングセンター、84年のGPNCテープ作成装置、85年の立型マシニングセンターの導入で大きく変わった。

マシニングセンターは、さまざまな工具をプログラムで自動的に交換することによってフライス、穴開け、中ぐりなどの複数の加工を1台でこなせるもので、これまでの生産工程を革新した。一方、数値制御装置を組み込んだNCは、工作物を切削する工具の動きを数字に置き換え、その数字情報によって加工をコントロールする技術で、工作機械の歴史を画す大きな技術革新であり、FA(Factory Automation)につながる自動化や、機械と電気技術の融合によるメカトロニクスなどへの道を開いた。NC工作機械を導入すれば省力化が図られるうえに加工精度が向上し、NCデータの交換だけで多品種の生産に対応できる。価格、品質の両面から高度化する注文に対応するにはNC旋盤などの導入が避けられない。しかし、金型業界でコンピュータやNC工作機械が積極的に導入されるようになるのは85年以降のことで、82年のNC倣いフライス盤、マシニングセンターの導入は、当社が先進技術の導入に先行していたことを物語っている。

GPNCテープ作成

二度のオイルショックによって、自動車、電機産業が、省エネ、小型化の世界的な動きに呼応して大きな躍進を遂げると、省エネ、小型化などの革新的な技術や高い加工精度が求められるようになる一方、国際競争の圧力がこれまで以上の生産性向上を促した。製品だけでなく、組立メーカーの設備投資が、部品メーカーや下請けメーカーの設備投資を誘発し、金型だけでなくあらゆる分野の中小企業で、老朽機械を最新鋭工作機械に切り替える更新投資が行われた。価格、品質の両面から高度化する注文に対応しなければ存続できなくなったからで、それらは、生産工程を革新的に変化させるMC(MachiningCenter)やCNC(Computer Numerical Control)やNC工作機械に始まり、CAD/CAM(Computer AidedDesign.: コンピュータによる設計支援ツール/Computer Aided Manufacturing:コンピュータの支援による製造システム)に向かっていった。後述するが、設計部門の近代化と効率向上に向けて84年に小松製作所氷見工場に「コマツCAD/CAM推進プロジェクト委員会」が設置され、推進プロジェクト委員に当社の松村浩史課長(当時)が参加、当社もグラフィックプロダクツ社製NCテープ作成装置一式を導入してCAD/CAMの導入に備えていった。

1982〜85年に導入した大型設備

設 備 名 称 取  得
牧野NC倣いフライス盤 1982年   4月
牧野マシニングセンター 1982年 10月
GPNCテープ作成装置一式 1984年   8月
立型マシニングセンター 1985年   2月

 

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